新型フェアレディZ V6ツインターボ+9ATのアクセルをそっと踏んで500km走った燃費は?
新製品
ニッポンのスポーツカーの大名跡「フェアレディZ」が新型になって街を走り始めた。型式はZ34(前型がZ34、新型はRZ34型)のままだが、エンジンは405psを発生する3.0ℓV6ツインターボに切り替わっている。その新型フェアレディZの9ATモデルを500kmドライブしてみた。果たして新型の実力は?
スポーツ走行しないときの新型Zはどう?
新型フェアレディZ、「最後の純エンジン搭載のZなのでは」ということで、受注が殺到。現在、一時的に注文受付は停止されている。
その新型フェアレディZ(version ST 9AT)に試乗する機会を得た。プラットフォームは前型から流用しているから注目はスカイライン400Rが積むVR30DDTT型3.0ℓV6ツインターボと新開発のジヤトコ製9速ATの組み合わせだ。果たして、その走りは? となる。
だが、新型Zの走りについては、きっとたくさんの試乗記があるだろうから、ここでは、できるだけアクセルを踏み込まないで「そっと」走ってみたときのレポートをお届けする。
たとえ、生粋のスポーツカーファンが新型Zを買っても、常にアクセルを全開にしているわけではない(でしょう?)。気持ち良くワインディングを走るときも、そこに行くまでは市街地や高速道路を走るはず。そこではどんな印象で燃費は果たしてどうなのか?
新型のパッケージング
例によって日産グローバル本社の地下駐車場でイカズチイエローの鮮やかなボディの新型Zに対面する。うーん、カッコイイ。プラットフォームはFR-Lプラットフォームの改良版だ。
前型フェアレディZのパッケージ
リリース
ブリッド株式会社(愛知県東海市、代表取締役社長:高瀬嶺生)は、土屋圭市氏監修によるスペシャルエディションKINGシリーズの新製品として、リクライニング機構付きのスーパーセミバケットシート「GIASⅢ(ガイア...
BRIDE
新型フェアレディZのパッケージ
上の図を見てもわかるようにパッケージは変わっていない。全長は4380mmだから前型より120mmも長くなっているが、冗長な印象はない。ドライバーズシートに収まってポジションを調整する。サイドミラーから見えるリヤフェンダー、前に見えるフロントフェンダー周りは「グラマラス」という感じではない。外観は、スープラなどと違って可憐な印象だ。
今回の注目はパワートレーンだ。VR30型V6ツインターボはスカイライン400Rにすでに搭載されている。このエンジン、現代のマルチシリンダーエンジンでも屈指の完成度を誇る(スーパーカー系のエンジンは経験が豊富でないのでわからないが)。個人的にもすごく好きなエンジンだ。したがって、もっとも注目すべきは新開発の9速ATである。
前述したように、アクセルは踏み込まずにそっと踏むが、それ以外にエアコンをオフにするとか空気圧を上げるとか、そういうことはしていない。制限速度内での走行を心がけた。また、ドライブモードは終始「STANDARD」を選択した。
エキゾーストノートは、けっしてうるさくない。迫力が足りないという人もいるかもしれない。最近話題の「R51-03の騒音規制」のフェーズ2に対応するとこうなるのだろう。その代わり、新型Zはアクティブ・サウンド・コントロール、アクティブ・ノイズ・コントロールを採用している。
横浜の市街地を少し走る。信号待ちでもエンジンは停止しない(アイドルストップ機構は付いていない)。メーター内の燃費計を見ながら走っていたが、街中でも存外燃費、悪くない。
新型フェアレディZ(9AT)のモード燃費は
WLTCモード燃費:10.2km/ℓ
市街地モード6.6km/ℓ
郊外モード10.9km/ℓ
高速道路モード12.6km/ℓ
である。もしかしたら、穏やかに走ったら新型Zの燃費は悪くないのではないか、と思いながら首都高速に乗った。燃費もだが、乗り心地がいい。前型ではドタバタしていた首都高速の舗装の継ぎ目も思いのほかスムーズに越えていく。乗り心地がいいと感じた理由はシートにあるかもしれない。
運転席のシートの座面長は先代が495mm、新型が480mmとなっていて、座面長は短い。にもかかわらず、座り心地はいい。おそらくシート形状に秘密があるのだろう。ただし、筆者は身長175cmの標準体型。もっと背の高い、あるいは恰幅のいいドライバーも多いだろう。その人たちが新型のシートをどう感じるかはわからない。
新開発9速ATの効果は?
混雑した首都高を抜けて高速道路へ。
次の注目点は9速ATだ。ギヤ比を見てみよう。
トルキーなエンジンと多段化されたトランスミッションのおかげで高速巡航時のエンジン回転数は低く抑えられている。
100km/h巡航時のエンジン回転数はメーター読みで1700rpmだった。
100km/h巡航:1700rpm(8速)
そうなのだ。100km/hだと9速には入らない。ステアリングについているパドルを使って9速にシフトアップするとエンジン回転数は1600rpmに下がる。が、しばらくするとDモードに戻り、ギヤは8速にダウンする。
110km/h巡航:1900rpm(8速)
120km/h巡航:2000rpm(8速)
120km/h巡航:1800rpm(9速)
自慢の9速に入るのは115km/hくらいから。120km/hでも状況(道路の勾配など)によっては8速の場合もあった。
トランスミッションギヤ比
各ギヤ比×最終減速比
| 新型9速AT | 前型7速AT | |
|---|---|---|
| 1速 | 5.425 | 4.923 |
| 2速 | 3.263 | 3.193 |
| x速 | 9.999 | 9.999 |
では、せっかくの9速は宝の持ち腐れかといえば、そうではない。トルクバンドの広いV6ツインターボエンジンとの相性もよく、80~110km/hくらいの一番使用頻度の高い速度域で高いギヤが使えてエンジンの回転数を抑えることができている。
前型の7速のギヤ比が最終減速比との掛け合わせた数字は2.558なのに対して新型は8速で2.234、9速では1.867にもなるのだ。
525km走って燃費はどうだったか?
今回の総走行距離は527.5km。高速道路の比率が6割ほどとはいえ交通状況は渋滞もあってけっして理想的だったわけではない。にもかかわらず、トータルの燃費は14.1km/ℓだった。つい先日、スバルWRX S4を同じような走り方でドライブしたときの燃費が11.46km/ℓだったから、新型フェアレディZの燃費の良さは際立つ。
WLTCモードの138.2%、高速道路モードの111.9%をマークした。
同じVR30DDTT型を搭載するスカイライン400R(7速AT)よりも確実に好燃費だ。やはり9速ATの威力は絶大だ(車重の軽さもあるが)。6速MTの設定は、ファンにはうれしいことだろうが、筆者が新型Zを買うとしたら、9速ATを選ぶ。ワイドなレシオカバレッジによる燃費性能だけでなく、変速の切れ味も良かったからだ。
おとなしく走っても新型Zは楽しい
新型フェアレディZのようなスポーツカーを「アクセルを踏み込まないでそっと走らせる」のは、楽しくないのではないか?と思う人も多いだろう。
それはちょっと違う。いいスポーツはゆっくり走らせても楽しいのだ。以前、GT-R T-Specを試乗した際も、同じようにアクセルをそっと踏んでみたのだが、35GT-Rは80km/hでも100km/h巡航でも走っていて楽しいのだ。
今回、新型フェアレディZをそっと乗ってみたわけだが、新型Zも同じ意味で、運転が楽しい。ACC(インテリジェント・クルーズコントロール)も装備しているが、運転が楽しいからほぼ使わなかった。
ステアリングのアシスト機構は前型までは伝統の油圧式だったが、新型は電動式になった(これもモード燃費の向上には効いているはず)。前型のしっとりしていて手応えのあるステアリングフィールは新型にも継承されている。電動パワーステアリングシステムはフィーリングを含めていよいよ完成をみたと言っていい。
新型フェアレディZは、想像を遙かに超えていいクルマだった。インテリアは古典的で質感もすごく高いとは言えない。が、コックピットに収まってセンター上にある3連メーターが目に入ると(しかも、またここが絶妙に見やすい位置なのだ)、思わずニヤリとしてしまう(電圧計なんて見ることはないのに)。
たった一晩だが、自宅ガレージにフェアレディZが収まっているのを見たときは、なんとも言えない充足感があった。スポーツカーを手に入れる理由のひとつは、こういうところにもある。
日産フェアレディZ version ST
全長×全幅×全高:4380mm×1845mm×1315mm
ホイールベース:2550mm
車重:1620kg
サスペンション:Fダブルウィッシュボーン式 Rマルチリンク式
エンジン形式:V型6気筒DOHCツインターボ
エンジン型式:VR30DDTT
排気量:2997cc
ボア×ストローク:86.0mm×86.0mm
圧縮比:10.3
最高出力:405ps(298kW)/6400rpm
最大トルク:475Nm/1600-5600rpm
過給機:ターボ
燃料供給:DI
使用燃料:プレミアム
燃料タンク容量:62ℓ
トランスミッション:9速AT
駆動方式:RWD
WLTCモード燃費:10.2km/ℓ
市街地モード6.6km/ℓ
郊外モード10.9km/ℓ
高速道路モード12.6km/ℓ
車両価格:646万2500円
メーカーオプションオプション(イカズチイエロー/スペシャルブラックの特別塗装色8万8000円)
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